「毎月貯金しよう」と思ってはいるものの、給料日が近づくとほとんど残っていない…。そんなお悩みはとてもよく聞きます。
はじめに
この記事では、共働き世帯やおひとり暮らしの社会人の方が「月5万円の貯金」をひとつの目安に、ムリなく・続けられる家計のシンプルな設計方法をお伝えします。金額は5万円を例にしますが、3万円でも1万円でも考え方は同じです。
1. 「先どり貯金」を前提に家計を組み立てる
1-1. “残ったら貯金”では一生たまらない
多くの方がやりがちなのが「生活費を使って、余ったら貯金」というスタイルです。しかし、実際にはほとんど余りません。そこで、日本の家計管理でよく推奨されるのが「先どり貯金」です。
先どり貯金とは
- 給料日直後に、まず貯金分を別口座に移す
- 残ったお金で1か月をやりくりする
というシンプルな方法です。
1-2. 具体例:手取り25万円のケース
【例】手取り25万円の会社員Aさんの場合
- 手取り:250,000円
- 先どり貯金:50,000円(2割)
- 生活費として使える金額:200,000円
この20万円の中から「家賃」「食費」「光熱費」「通信費」「お小遣い」などを配分していきます。はじめに貯金を抜いてしまうことで、「20万円でやりくりする」感覚が自然と身につきます。
2. 貯金用口座は「日常口座」と分ける
2-1. 給与振込口座と貯金口座を分けるメリット
日本の銀行口座は複数持てますので、次のように分けるのがおすすめです。
- 給与振込・引き落とし用:メインバンクの普通預金
- 貯金専用:別の銀行または同じ銀行内の別口座
メリット
- 貯金を「なかったもの」として扱いやすい
- キャッシュカードを財布に入れなければ、衝動的に引き出しにくい
- 目標金額までの到達度がひと目でわかる
2-2. 自動振替を活用する
多くの銀行では、毎月決まった日に自動で別口座へ振り替えるサービスがあります。給料日翌日などに設定しておくと、毎月の「貯金への振込作業」を忘れずに続けられます。
設定のポイント
- 日付:給料日当日〜2日後くらい
- 金額:無理なく続けられる少しきつめの額
- 年に1回は見直す
※具体的な手数料や条件は、利用している銀行の公式サイトや窓口で確認してください。
3. 固定費を見直して「貯金の原資」をつくる
3-1. まずは「毎月必ず出ていくお金」から
貯金を増やすには、収入を上げるか支出を減らすかのどちらかです。すぐにできるのは支出の見直しですが、なかでも効果が大きいのが固定費です。
主な固定費の例
- 住居費(家賃・住宅ローン)
- 通信費(スマホ・インターネット)
- 保険料(生命保険・医療保険・自動車保険など)
- サブスクリプション(動画・音楽・アプリなど)
3-2. 通信費の見直し例
【例】スマホ2台(夫婦)のケース
- 見直し前:1台あたり月8,000円 × 2台 = 16,000円
- 見直し後:1台あたり月4,000円 × 2台 = 8,000円
→ 毎月8,000円、年間96,000円の節約に。
この8,000円をそのまま先どり貯金に回せば、他をあまり削らずに貯金額を増やせます。
通信費や保険料は、サービス内容や家族構成の変化に合わせて見直すとよいでしょう。とはいえ、補償内容や解約条件なども関係してきますので、契約前には必ず約款や公式サイトで最新情報を確認してください。
4. 「目的別」に貯金を分けると続けやすい
4-1. 貯金の「名前」を決める
貯金がうまくいかない理由のひとつに、「何のための貯金かわからない」という点があります。
そこで、おすすめなのが目的別に貯金の名前をつける方法です。
目的別の例
- 「生活防衛費」:病気や失業に備える貯金
- 「教育費」:お子さんの進学に備える貯金
- 「住宅・リフォーム費」:引っ越し・購入・修繕のための貯金
- 「老後資金」:将来の生活費の一部にあてる貯金
- 「楽しみ費」:旅行・趣味などのための貯金
4-2. 3つの“箱”で考える
全部を細かく分けるのがたいへんという方は、まずは次の3つから始めてみてください。
生活防衛用(現金)
生活費の3〜6か月分を目安に、普通預金などすぐ使える形で。
近い将来用(〜5年)
結婚、出産、車の買い替え、教育費の一部など。
老後・長期用(10年以上)
年金だけでは足りないかもしれない分を、長い時間をかけて準備するイメージです。
なお、老後や長期の資金準備には、NISAやiDeCoといった制度を活用した「資産形成」を検討する方も増えています。これらは税制上のメリットもありますが、元本の保証はなく、制度内容も変更される可能性があります。最新のルールやリスクについては、金融庁や各金融機関の公式情報を必ず確認してください。
5. ボーナスの扱い方で貯金スピードが変わる
5-1. ボーナスは「ごほうび」と「将来」のバランスを
日本の会社員の多くは、夏と冬に賞与(ボーナス)があります。毎月の給料だけではなかなか貯金が増えない場合、ボーナスの使い方が大きなポイントになります。
【例】手取りボーナス40万円の場合
- ①貯金:20万円(50%)
- ②ごほうび・旅行など:8万円(20%)
- ③家電・家具などの大きな支出:8万円(20%)
- ④特別支出(冠婚葬祭・帰省など):4万円(10%)
このように、あらかじめ大まかな割合を決めておくと、気づいたら使い切っていた、ということを防ぎやすくなります。
5-2. 年末調整と確定申告で戻ってきたお金を貯金へ
年末には、会社員であれば年末調整が行われます。生命保険料控除や扶養控除などを会社が計算し直してくれる仕組みで、多くの場合、払いすぎていた所得税が12月ころの給料で戻ってきます。
また、ふるさと納税を行った方や医療費が多かった方、自営業・フリーランスの方は確定申告をすることで、税金が還付されることがあります。
こうして戻ってきたお金は、なかったものとしてそのまま貯金に回すと、貯金ペースを大きく高められます。
※控除の内容や手続きは毎年変更されることがあります。詳細は国税庁の公式サイトなどで最新情報を必ずご確認ください。
6. 今週からできるプチ行動チェックリスト
今週、次の中から2つだけで良いので実行してみてください。
- [ ] 給料日と同じ銀行で「貯金専用口座」をひとつ作る
- [ ] 給料日翌日に自動振替される「先どり貯金」をネットバンキングで設定する
- [ ] 家計簿アプリやメモで「先月の支出総額」をざっくり把握する
- [ ] スマホ料金の明細を確認し、不要なオプションがないかチェックする
- [ ] 今の貯金に「名前」を3つつけてみる(生活防衛・近い将来・老後)
- [ ] 次のボーナスの使い道を、ざっくりと割合でメモしておく
気をつけたいポイント
- 貯金額の目標を高くしすぎると、数か月で疲れてしまいがちです。まずは1万円からでもかまいません。
- NISAやiDeCoは貯金というより「投資を通じた資産形成」です。元本が保証されないため、生活防衛費まで投じないよう注意が必要です。
- 銀行や保険商品の金利・手数料・税制は、制度改正などで変わる可能性があります。契約前には必ず公式な最新情報を確認してください。
- 友人やSNSで見た「おすすめの金融商品」が自分に合うとは限りません。目的・期間・リスク許容度を自分の家計に合わせて考えましょう。
おわりに
貯金は「性格」よりも「仕組み」で決まります。完璧な家計簿や極端な節約よりも、
- 先どり貯金を自動化する
- 固定費を少しだけ見直す
- 目的別に貯金の“箱”を分ける
といった、シンプルな習慣をコツコツ続けていくことが、数年後の大きな安心感につながります。今日からできることをひとつだけ試してみてください。
参考資料
- 金融庁「NISA 特設ウェブサイト」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/
- 金融庁「iDeCo(個人型確定拠出年金)」https://www.fsa.go.jp/policy/dc/individual.html
- 国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/index2.htm
- 金融広報中央委員会「知るぽると」家計管理のポイント https://www.shiruporuto.jp/public/data/


