共働き世帯が増える一方で、「2人で働いているのに、なぜかお金が残らない」という声もよく聞きます。収入が2つあるぶん、管理も複雑になりがちです。
はじめに
この記事では、日本で働く共働き夫婦が、ケンカになりにくく、続けやすい「貯金ルール」を作るための考え方と具体的なステップを解説します。結婚前後のカップルにも役立つ内容です。
1. まずは「お金の見える化」から始める
1-1. それぞれの収入・支出をざっくり共有する
パートナーと貯金の話をするとき、いきなり「いくら貯金してる?」と聞くと、相手が身構えてしまうこともあります。
最初の一歩としておすすめなのは、次の3つを“ざっくり”共有することです。
- 手取り月収の目安
- 毎月の固定費(家賃、通信費、保険料など)の合計
- 現在の貯金額の“幅”(例:100〜150万円くらい)
細かい金額まできっちり出す必要はありません。お互いの状況を知ることが第一歩です。
1-2. 家計簿アプリを「共有ツール」として使う
紙の家計簿では、どちらか一方の負担が大きくなりがちです。最近は、共働き世帯でも使いやすい家計簿アプリが増えています。
- 銀行口座やクレジットカードと連携できる
- 食費・日用品など、カテゴリごとに自動で仕分けされる
- 夫婦で同じアカウントを見られるものもある
共通口座だけアプリと連携させ、「今月の食費」「住居費」など、共通支出だけを共有するという使い方も便利です。
2. 共働き夫婦に多い3つの家計スタイル
2-1. 全部一緒型
特徴
- 夫婦の収入をすべて1つの口座に集める
- そこから生活費も貯金も管理
メリット
- 家計の全体像が把握しやすい
- 家族としての一体感が出やすい
デメリット
- どちらかが「自分のお金がない」と感じることも
- 管理の中心になる人の負担が大きくなりがち
2-2. 共通+各自型
特徴
- 共通口座を1つ作る
- それぞれが決めた金額を毎月この口座に入金
- 家賃・光熱費・食費などは共通口座から支払う
- 余った分を共通貯金に回す
メリット
- 公平感を出しやすい
- お互いに自由に使える「お小遣い」も確保しやすい
デメリット
- 共通口座への入金額の決め方でモメることも
2-3. 完全割り勘型
特徴
- 家賃は夫、光熱費と食費は妻、など役割分担を決める
- 貯金もそれぞれで行う
メリット
- それぞれの自由度が高い
- お金の価値観が大きく違うときにはやりやすい
デメリット
- 家族としての長期的な貯金目標が見えにくい
- 将来の教育費や住宅費の準備が進まないことも
どれが正解というわけではなく、夫婦の性格や収入差に応じて選ぶことが大切です。
3. 貯金ルールを決める5ステップ
ステップ1:生活費と貯金を「割合」で決める
「手取りの何割を貯金に回すか」を、まずざっくり話し合います。
目安の一例
- 独身・子なし共働き:手取りの2〜3割を目標に
- 子どもあり・住宅ローンあり:1〜2割でもOK
【例】夫婦の手取り合計45万円の場合
- 貯金:7万円(約15%)
- 生活費・ローンなど:38万円
このように、始めから“貯金ありき”で家計を組み立てることがポイントです。
ステップ2:共通口座への入金額を決める
収入差がある場合は、「割合」で負担する方法が公平感を持ちやすいです。
【例】夫の手取り:27万円、妻の手取り:18万円
- 夫:月18万円を共通口座へ(手取りの約67%)
- 妻:月12万円を共通口座へ(手取りの約67%)
共通口座の合計30万円から、家賃・食費・水道光熱費・保険料などを支払い、残りを共通の貯金へ回します。
ステップ3:目的別の共通貯金を用意する
夫婦で共有する将来の支出に備えて、目的別の貯金を作ります。
- 住宅購入・リフォーム用
- 教育費用
- 車の買い替え用
- 老後のための資金の一部
目的に応じて、普通預金のほか、NISAやiDeCoなどを組み合わせて準備していく家庭もあります。ただし、これらは元本が保証されない商品への投資になりますので、まずは当面の生活に必要な現金(生活防衛費)を優先的に確保してから検討することをおすすめします。
制度内容や税制優遇の条件は、金融庁などの公式情報で最新の内容を必ず確認してください。
ステップ4:ボーナスの使い道もルール化する
ボーナスがある職場の場合、使い道をあらかじめ決めておくと貯金が進みやすくなります。
【例】夫婦のボーナス手取り合計80万円の場合
- 共通貯金:40万円(50%)
- 帰省・旅行・レジャー:16万円(20%)
- 家電・家具など:12万円(15%)
- それぞれの自由に使うお金:12万円(15%)
割合だけ決めておき、具体的な金額は実際の支給額が出てから計算すればよいでしょう。
ステップ5:年1回「お金会議」を開く
ルールは一度決めて終わりではなく、毎年見直すことが大切です。昇給・転職・出産・引っ越しなど、ライフイベントがあればなおさらです。
- いつ:年1回(ボーナス時期や年末など)
- 時間:1〜2時間程度
- 議題の例:
- 共通貯金の残高を確認
- 来年の大きな支出(車検、旅行、入学など)を洗い出す
- 共通口座の入金額を見直す
- NISA・iDeCoなどの利用状況を確認
4. 税金・社会保険も「夫婦トータル」で見る
4-1. 扶養と社会保険の関係
日本では、配偶者の収入が一定額以下であれば「配偶者控除」「配偶者特別控除」といった税制上の優遇が受けられることがあります。また、健康保険や年金の扶養の扱いも、収入金額によって変わります。
- 所得税・住民税上の扶養
- 健康保険・年金の扶養(第3号被保険者など)
これらは金額の基準が複数あり、毎年の税制改正でルールが変わることもあります。パート・アルバイトで働く場合の収入調整などを考えるときは、国税庁、日本年金機構、健康保険組合などの公式情報を参考にしてください。
4-2. 年末調整と確定申告
会社員の場合、多くは年末調整で所得税の精算が行われます。生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除などは、夫婦どちらが受けるかで節税効果が変わることもあります。
また、ふるさと納税を行った場合、ワンストップ特例制度を使わないときや、医療費が一定額を超えたときには、確定申告をすることで税金が戻る可能性があります。
戻ってきたお金は、共通貯金に入れるのか、各自のお小遣いにするのかも、あらかじめ話し合っておくとスムーズです。
※控除額や適用条件は変わることがありますので、必ず国税庁の最新情報をご確認ください。
今週できる「夫婦の貯金ルール」ミニチェックリスト
- [ ] 手取り月収とおおよその固定費を、お互いに共有する
- [ ] 家賃・光熱費・食費をどの口座から払っているかを書き出す
- [ ] 共通口座を1つ決める(新しく作る場合は手続きする)
- [ ] 貯金に回したい割合(手取りの○%)を話し合う
- [ ] 次のボーナスの使い道を、割合だけ決めてメモしておく
気をつけたいポイント
- 「どちらがお金に詳しいか」で任せきりにすると、片方の負担が大きくなり、不満の原因になりがちです。
- 収入差がある場合、「完全折半」にこだわると、どちらかが苦しくなることがあります。手取りに応じた割合負担を検討しましょう。
- NISAやiDeCoは税制メリットがありますが、運用商品によっては元本割れのリスクがあります。生活費まで投資に回さないよう注意が必要です。
- 扶養や税制の基準額は変更されることがあります。ネット上の古い情報をうのみにせず、国税庁や日本年金機構の最新情報を確認してください。
おわりに
共働き夫婦のお金管理は、「話しにくそうだから」と後回しにされがちです。しかし、ルールを一度決めてしまえば、あとはそのルールに沿って自動的にお金が動き、貯金も少しずつ増えていきます。
完璧なルールを目指す必要はありません。まずは今週、「手取りの共有」と「共通口座をどうするか」の2つだけ話し合ってみてください。それが、2人で貯金を育てていく第一歩になります。
参考資料
- 金融広報中央委員会「知るぽると」家計管理 https://www.shiruporuto.jp/public/data/
- 金融庁「NISA 特設ウェブサイト」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/
- 金融庁「iDeCo(個人型確定拠出年金)」https://www.fsa.go.jp/policy/dc/individual.html
- 国税庁「タックスアンサー」配偶者控除・配偶者特別控除 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
- 日本年金機構「年金と働き方」https://www.nenkin.go.jp/


