共働き世帯が増える一方で、「毎月は何とか黒字だけれど、将来のための貯蓄・投資は後回しになりがち」という声をよく耳にします。
はじめに:共働き家計こそNISAを味方にしたい理由
そんなご家庭にこそ活用していただきたいのが、新しいNISA制度です。税金面での優遇があるため、同じ商品を通常口座で買うよりも有利になりやすく、長期の資産づくりに向いている制度です。
この記事では、特に共働き夫婦や子育て世帯を想定して、
- NISAを家計の中でどう位置づけるか
- 夫婦それぞれの口座をどう使い分けるか
- 毎月の積立額をどう決めるか
といった“実際に動き出すためのステップ”を、やさしく丁寧に解説します。
※本記事は制度の概要を説明するものであり、特定の金融商品や金融機関を推奨するものではありません。税制や制度は変更されることがありますので、最新情報は金融庁や各金融機関の公式情報をご確認ください。
1. 新NISAの基本:共働き家計にうれしい3つのポイント
NISAは、一定の範囲内で投資の利益が非課税になる制度です。課税口座と比べて、値上がり益や分配金・配当金などにかかる税金がかからないのが大きな特徴です。
共働き世帯にとってうれしいポイントは次の3つです。
1人1口座で、それぞれ非課税枠がある
夫婦それぞれがNISA口座を持てるため、世帯としての非課税投資枠を増やすことができます。
長期の積立投資と相性がよい
共働きで毎月のキャッシュフローが安定しているご家庭は、定額での積立投資を継続しやすく、時間分散がしやすいというメリットがあります。
年収が違っても税制優遇は同じ
所得税率に関わらず、原則として投資利益にかかる税率は一定とされています。NISAではこの課税そのものがかからないため、年収が違う夫婦でも同じようにメリットを享受できます。
2. まずは家計の役割分担を決める
NISAを始める前に、「どのお金を投資に回すのか」を夫婦で話し合っておくことが大切です。
2-1. 生活費・貯金・投資のおおまかな割合
一般的な目安として、手取り収入に対し、
- 生活費:50〜60%前後
- 近い将来のための貯蓄(車購入、教育費など):10〜20%前後
- 将来の資産形成(NISA・iDeCoなど):10〜20%前後
といったバランスを参考に考える方が多いです(あくまでも一例です)。
2-2. 夫婦での分担例
- 夫:住宅ローン・生活費のメインを負担
- 妻:保育園費用・教育費の貯蓄、NISAの積立
など、それぞれの収入や勤務形態に合わせて役割分担を決めると、
「どちらの口座で、いくらNISAに回すか」が決めやすくなります。
3. 毎月いくら積み立てる?具体的な考え方
3-1. 先取りで「続けられる額」にする
NISAの積立額を考えるときは、残ったお金を投資に回すのではなく、「先取り」で考えるのがおすすめです。
【例:共働き家庭のモデルケース】
※あくまで一例です。
- 夫:手取り月収 26万円
- 妻:手取り月収 20万円
- 合計:手取り 46万円
このご家庭で、
- 生活費(家賃・食費・水道光熱費など):30万円
- 近い将来のための貯蓄:5万円
- NISAでの投資:5万円
- その他(レジャー、夫婦小遣いなど):6万円
という配分にすると、NISAには「世帯で月5万円」回すことになります。
この5万円を、
- 夫のNISA:月3万円
- 妻のNISA:月2万円
と分けるなど、各自の収入と負担のバランスを見ながら決めていきます。
3-2. ボーナスでのスポット投資も検討
毎月の積立とは別に、ボーナスの一部をNISAに回す方法もあります。
【例:ボーナスの使い方】
- ボーナス手取り合計:50万円
- 旅行・帰省費:10万円
- 家電の買い替え:10万円
- 予備費:10万円
- NISAへの追加投資:20万円
といった形で、最初から「NISA枠」をボーナスの用途に組み込んでおくと、計画的に資産形成を進めやすくなります。
4. 夫婦それぞれのNISA口座、どう使い分ける?
共働き世帯でよくある悩みが、「どちらの口座からどんな投資をするか」です。
4-1. よくあるパターン
夫:老後資金メイン、妻:教育資金+老後資金
- 夫:定年までの年数を見据えて、老後資金を長期で準備 - 妻:子どもの学費や習い事など、中長期で必要になるお金を一部NISAで積み立て
2人とも基本は老後資金として運用
教育資金は銀行預金などで確保し、NISAは「老後生活を少しでも豊かにするため」と割り切るパターンです。
4-2. 引き出すタイミングも話し合う
NISAでの投資は、いつでも売却して現金化できますが、
- 「教育費に使う分」
- 「老後まで使わない分」
など、目的別に大まかなイメージを共有しておくと、
いざというときに迷いにくくなります。
5. ほかの制度(iDeCo・ふるさと納税)との組み合わせ
NISAだけでなく、
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- ふるさと納税
なども、共働き世帯の家計と相性が良い制度です。
5-1. iDeCoとの違いと使い分け
- NISA:いつでも売却・引き出しが可能
- iDeCo:原則60歳まで引き出し不可だが、掛金が所得控除の対象
という違いがあります。
「老後まで完全に手をつけないお金」はiDeCo、
「場合によっては教育費や住宅のリフォームにも使う可能性のあるお金」はNISA、
といった使い分けをする方も多いです。
5-2. ふるさと納税とのバランス
ふるさと納税は、一定の自己負担(通常2,000円)を除いて、所得税・住民税が控除される仕組みです。
- 共働きでそれぞれ給与所得がある場合、各人ごとに上限額が存在します。
- 年末調整や確定申告の有無、給与収入の金額などによっても変わるため、シミュレーションツールなどで上限を確認したうえで利用しましょう。
NISAへの積立と同時にふるさと納税も行う場合は、
「現金ベースの負担が大きくなりすぎないか」を家計簿でチェックしておくと安心です。
6. 今週できるチェックリスト
今週〜今月中にできる行動をまとめました。全部でなくても、2〜3個でも進めば大きな一歩です。
- [ ] 夫婦それぞれの手取り収入を「紙に書き出す」
- [ ] 家賃・食費・水道光熱費などの固定費をざっくり合計する
- [ ] 「将来のために回したい金額(%)」を2人で話す
- [ ] NISAの非課税枠と、口座開設先の候補を1〜2社に絞る
- [ ] ボーナスの使い道の中に「NISA積立」を入れるか話し合う
- [ ] iDeCoやふるさと納税も含めた“税金との付き合い方”を少し勉強してみる
気をつけたいポイント(共通の落とし穴)
生活防衛資金を確保せずに全額投資する
突然の病気や失業などに備えて、最低でも生活費3〜6か月分程度の現金を銀行預金などで確保してから、NISAの積立額を決めるようにしましょう。
短期での値動きに一喜一憂してしまう
NISAは長期投資向きの制度です。価格の上下に不安を感じて売買を繰り返すと、結果として損失が大きくなることもあります。自分で決めた方針を大切にしましょう。
税制や制度を“今のまま”と思い込む
税制やNISAの制度内容は、将来見直される可能性があります。最新情報は金融庁や国税庁などの公式サイトで確認し、「今のルール」を前提に計画を立てるようにしましょう。
特定の銘柄に集中させてしまう
一つの銘柄や分野に資金を集中すると、値動きの影響を大きく受けます。分散投資を心がけることが、リスクをおさえるうえで大切です。
おわりに
共働き世帯にとって、NISAは「時間」と「税制優遇」という2つの武器を活かせる制度です。
最初から完璧な計画にしようとせず、
- まずは小さな金額から始める
- 1年ごとに夫婦で見直す
という形で、少しずつ“自分たちのペース”を作っていくことが、長く続けるコツです。
将来のお金の不安を少しでも軽くするために、今週できることから一歩ずつ始めてみてください。
参考資料
- 金融庁「NISA 特設ウェブサイト」: https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
- 金融庁「一人一人のニーズに合った資産形成を支える制度」: https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/index.html
- 国税庁「NISA(少額投資非課税制度)に関する税務上の取扱い」: https://www.nta.go.jp/
- 国税庁「ふるさと納税等に係る寄附金控除」: https://www.nta.go.jp/
- 金融広報中央委員会 知るぽると「くらしに身近な金融知識」: https://www.shiruporuto.jp/


