共働きで子育てをしているご家庭では、毎日があっという間に過ぎていきます。仕事に家事に育児に追われるなかで、保険のことはつい後回しになりがちです。
はじめに
しかし、もしものときに家計を守ってくれるのは、日頃からの貯蓄と、公的保険+民間保険の備えの組み合わせです。この記事では「共働き子育て世帯」に焦点を当てて、必要な保険の考え方を整理していきます。
1. 共働き子育て世帯ならではのリスクとは
たとえば次のようなことが起こったとき、ご家庭の家計はどうなるでしょうか。
- 夫または妻が長期入院・療養となる
- 働き手のどちらか、あるいは両方に万一のことが起きる
- 病気やケガで収入が一時的に減る
共働きだからこそ、どちらか一方が働けなくなったときの影響は小さくない場合もあります。また、保育園や小学校の送迎・家事を外注する必要が出れば、支出が増えることも考えられます。
2. まずは「公的保険+会社の制度」を確認する
民間の保険を考える前に、まずはすでに備わっている保障を把握しましょう。
公的医療保険
- 医療費の自己負担は原則3割
- 高額療養費制度により、一定額を超えた医療費はあとから払い戻される
会社員・公務員に多い制度
勤務先により内容は違いますが、次のようなものがある場合があります。
- 傷病手当金(病気やケガで働けなくなったときの所得補償)
- 企業年金・死亡退職金
- 団体保険(割安な保険料で加入できることが多い)
夫婦それぞれの勤務先で、就業規則や福利厚生の案内を一度確認してみてください。
3. 万一のとき、どれくらいお金が必要か考えてみる
3-1. 死亡保障の考え方
主なポイントは2つです。
遺された家族の生活費
教育費(保育園〜高校・大学まで)
【具体例】必要保障額のざっくりイメージ
例:夫(手取り月25万円)、妻(手取り月18万円)、子ども2人(4歳・1歳)、賃貸住まい
• 生活費:現在の生活費が月28万円 → 妻の収入18万円+遺族年金の一部でどこまでカバーできるかを試算
• 教育費:公立中心か、私立も検討するかでも大きく変わる
• 期間:下の子が大学を卒業するまでを一つの目安に
詳細な金額はご家庭によって違いますが、「全てを保険でカバーしようとしない」ことが大切です。貯蓄や、遺族年金、妻の就労継続なども含めて考え、「足りない分を保険で補う」という発想で考えてみてください。
3-2. 病気・ケガのときの備え
- 入院費・手術費・通院費
- 働けない期間の収入減少
- 子どもの預け先の変更や家事代行などの追加費用
【具体例】収入減少のイメージ
例:夫が病気で3か月休職した場合(会社員)
• 給与:一部減額または無給
• 傷病手当金:加入している健康保険の規定に応じて、給与の一部が支給される場合も
生活費と貯蓄の状況を踏まえ、「何か月分の生活費があれば安心か」を考え、それでも不安な分を所得補償保険などでカバーする選択肢もあります。
4. 教育資金づくりは「保険」だけに頼らない
子どもの教育費のために学資保険に入るご家庭も多いですが、最近は次のような選択肢もあります。
- 学資保険
- 低解約返戻金型の保険
- NISA(つみたて投資枠など)を使った長期の積立投資
それぞれメリット・デメリットがあり、どれが正解というものではありません。ただ、「保険=安全に増やせる」とは限らないこと、公的な教育ローンや奨学金なども組み合わせられることを知ったうえで選択すると良いでしょう。
NISA・iDeCoとのバランス
- 保険:万一に備える
- NISA:将来の教育費や老後資金を長期で育てる
- iDeCo:老後資金づくり+所得控除による節税効果(条件あり)
月々の家計から「保険にどれくらい」「投資にどれくらい」「現金の貯蓄にどれくらい」とバランスをとることが大切です。
5. 今週できる「共働き子育て世帯の保険チェックリスト」
今週のチェックリスト
- [ ] 夫婦それぞれの勤務先の「傷病手当金」「団体保険」の有無を確認する
- [ ] 現在加入している生命保険・医療保険を夫婦分まとめて一覧にする
- [ ] 子どもが独立するまでの年数を書き出す(例:あと◯年)
- [ ] 毎月の貯蓄額と、手元にある生活防衛資金(何か月分か)を確認する
- [ ] 子どもの教育資金を「いつまでに・どれくらい・どうやって」準備するか、夫婦で5分だけ話す
短い時間でも、夫婦で話すことで「うちは何に不安を感じているのか」が見えやすくなります。
6. 気をつけたいポイント
1. 「収入が多い方にだけ保険をかければ安心」ではない
共働き家庭では、収入が少ない側が担っている家事・育児の役割も大きな価値があります。もしその人に万一のことがあった場合、保育費や家事外注費が増えるなど、家計への影響は収入額以上になることもあります。
2. 子どもが小さいときの「時間の価値」を忘れない
保険の見直しは大切ですが、「あまりにも情報収集に時間をかけすぎて疲れてしまう」のもよくある落とし穴です。完璧を目指さず、「今より一歩よくする」くらいの気持ちで、少しずつ見直していきましょう。
3. 税金の控除だけを目的に選ばない
生命保険料控除や個人年金保険料控除など、年末調整や確定申告で控除を受けられる保険もあります。ただし、控除額はあくまでおまけの要素です。「本当に必要な保障かどうか」を優先して検討しましょう。
7. まとめ
- 共働き子育て世帯では、「働けなくなったとき」と「万一のとき」の両方に備える必要があります。
- まずは公的保険と勤務先の制度をしっかり確認し、そのうえで「足りない部分」を民間保険で補う考え方がおすすめです。
- 子どもの教育資金は、保険だけでなくNISAや貯蓄も含めてトータルで考えると柔軟性が高まります。
- 夫婦で5〜10分でも話す習慣をつくると、保険の選び方や見直しがぐっと進みやすくなります。
大切なのは、「完璧な保険」ではなく「わが家にとって安心できるバランス」を見つけることです。今週のチェックリストの中から、一つだけでも取り組んでみてください。
参考資料
- 厚生労働省「医療保険制度について」https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「傷病手当金について」https://www.mhlw.go.jp/
- 日本年金機構「遺族年金・障害年金」https://www.nenkin.go.jp/
- 国税庁「生命保険料控除」https://www.nta.go.jp/


