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お金日和

暮らしのお金を、今日すこし整える

今日は11月7日 土曜日

「老後の家計表」を今つくる理由:現役世代から始めるゆるやかな年金準備

「老後の家計表」を今つくる理由:現役世代から始めるゆるやかな年金準備

「老後資金は●●万円必要」といった情報があふれる一方で、

自分のケースに当てはめるのはむずかしく感じてしまいますよね。

この記事では、「いくら貯めれば正解か」を一気に決めるのではなく、

現役世代のうちから少しずつ「老後の家計表」をつくっていく考え方を、

やさしく整理していきます。

日本の公的年金の仕組みをおさえながら、

自分の家計に引き直して考える具体的なステップを紹介しますので、

夫婦・ひとり暮らしどちらの方にも参考にしていただけます。


まずは「公的年金でどのくらいカバーされるか」を知る

老後のお金を考えるとき、最初に確認したいのは「公的年金でどのくらい生活費がまかなえるか」です。

日本では、20歳以上60歳未満の方は原則として国民年金(基礎年金)に加入し、会社員・公務員の方はさらに厚生年金に加入します。

細かな金額は毎年見直されますが、ポイントは次の2つです。

  • 国民年金は「定額」に近い部分
  • 厚生年金は「現役時代の給料や加入期間」に応じて変わる部分

そのため、同じ年齢でも

「自営業と会社員」「短時間勤務とフルタイム」など、

働き方によって将来受け取る年金額には差が出ます。

ねんきん定期便・ねんきんネットを活用する

自分の見込み年金額を知るために使えるのが、

  • 毎年誕生月ごろに送られてくる「ねんきん定期便」
  • 日本年金機構の「ねんきんネット」(オンラインサービス)

です。

ねんきん定期便には、これまでの加入実績と、

一定の前提条件に基づいた「年金見込額」が記載されています。

ねんきんネットに登録すると、

  • 今の働き方を続けた場合
  • 今後の収入が変わった場合

など、条件を変えてシミュレーションすることもできます。

※年金額はあくまで「現行制度に基づく見込み」です。
制度改正や賃金・物価の変動で将来変わる可能性があります。

老後の「支出」と「収入」をざっくり棚おろしする

年金の見込み額がつかめてきたら、次は老後の家計をざっくりでいいのでイメージしてみます。

ここでは「1か月あたり」で考えるのがポイントです。

老後の支出イメージを出してみる

老後の支出は、現役時代より少なくなる項目もあれば、増える項目もあります。

たとえば次のようなものがあります。

  • 住居費(家賃・管理費・修繕積立金・固定資産税など)
  • 食費
  • 光熱費・通信費
  • 日用品・雑費
  • 医療費・介護関連費(保険料や自己負担分など)
  • 交通費
  • 趣味・旅行・交際費
  • 税金・社会保険料(住民税、国民健康保険料など、退職後に発生するもの)

【具体例】ざっくり家計イメージ(例)

※あくまで仮のイメージです。実際の金額は各ご家庭で異なります。

例:夫婦2人暮らし・持ち家(ローン完済)の場合

  • 住居費(管理費・修繕積立金・固定資産税など):25,000円
  • 食費:60,000円
  • 光熱費・通信費:30,000円
  • 日用品・雑費:20,000円
  • 医療費・介護積立イメージ:20,000円
  • 交通費・車関連:20,000円
  • 趣味・旅行・交際費:40,000円
  • 税金・社会保険料など:25,000円

合計:月24万円程度(例)

ご自身の家計に合わせて、紙やエクセル、家計簿アプリなどに

「老後バージョンの1か月予算」を書き出してみると、

足りない・多すぎる部分が見えてきます。


「年金+α」でどのくらい準備が必要か考える

老後の「支出イメージ」と「年金見込み額」を並べると、

必要な「年金+α」がどのくらいか、感覚がつかみやすくなります。

【具体例】年金と支出のギャップを考える(例)

先ほどの「夫婦2人暮らし・月24万円支出(例)」に対して、

ねんきん定期便を確認したところ、

  • 夫の老齢基礎年金+老齢厚生年金:月14万円(例)
  • 妻の老齢基礎年金(+老齢厚生年金があれば):月7万円(例)

合計:月21万円(例)

この場合、

  • 支出イメージ:24万円
  • 年金見込み:21万円

→ 月3万円ほど不足するイメージになります(あくまで例です)。

この月3万円をどう埋めるか、主なパターンは次のようなイメージです。

  • 現役時代のうちに資産を用意して、そこから取り崩す
  • パート・アルバイトなどで一定期間働いて補う
  • 支出を見直して少し抑える
  • 上記を組み合わせる

目安として「老後30年」と仮定すると、

月3万円 × 12か月 × 30年 = 約1,080万円(例)

という計算になります。

※これは単純化した「目安のかけ算」です。
実際には資産運用による増減や、税金・社会保険料、物価変動、
医療・介護費の増減など、多くの要素が関わってきます。

公的年金をベースに、手取りを意識した家計イメージを持つ

老後の収入は、公的年金だけでなく、貯蓄の取り崩しや、

勤務を続ける場合の給与収入などが混ざってきます。

ここで大切なのが「手取りでいくら残るか」を意識することです。

年金にも税金や社会保険料がかかる

公的年金は「雑所得」として所得税・住民税の対象になります。

また、65歳以上でも、一定の条件のもとで国民健康保険料・介護保険料などがかかります。

  • 年金収入が一定額以下の場合は、所得税がかからないケースもある
  • 住民税の非課税基準などは自治体によっても異なる

といった点もあり、「額面=そのまま使えるお金」ではありません。

国税庁や自治体のサイトで公的年金等控除や、

住民税の仕組みを確認しておくと、イメージがつきやすくなります。

※税制は定期的に見直されます。
実際の計算はその時点の最新情報を、国税庁や自治体の情報でご確認ください。

現役世代ができる「老後の家計準備」の考え方

老後の家計を安定させるために、現役世代でできることは

「一気に大金を貯める」ことではなく、

次の3つを組み合わせていくイメージです。

大きな支出(住宅・教育など)の計画を整える

公的年金を前提に、足りない分を少しずつ積立する

退職後の働き方や暮らし方の選択肢を持っておく

1. 住宅・教育・ローンと老後資金のバランス

老後の家計でもっとも影響が大きいのが「住居費」です。

  • 住宅ローンが老後まで続かないか
  • 管理費・修繕積立金、固定資産税などを老後の支出に織り込めているか
  • 賃貸の場合、将来の家賃水準をどう見込むか

教育費とのバランスも重要です。

教育費にお金を集中しすぎると、老後資金の積立が後回しになりがちです。

「子どもが高校・大学に入る前後で、いくらまでなら教育費に回せるか」

「老後に残したい毎月の積立額はいくらか」

を家族で話し合っておくと、将来の選択肢が増えます。

2. 積立の“目的”をざっくり分けておく

老後のための資産形成といっても、

  • 10年後までに使う予定のお金
  • 20〜30年以上先まで眠らせておけるお金

では、適した置き場所やリスクの取り方が変わります。

● たとえば、こんな分け方があります(あくまで考え方の例)

  • 「10年以内にリフォームや車の買い替えに使うかもしれないお金」
  • 「子どもの独立後〜60代前半までの生活を支えるためのお金」
  • 「70代以降の生活のベースを支えるお金」

それぞれについて、

  • 安全性(元本割れのリスクをどこまで許容するか)
  • 流動性(いつでも引き出せるか)
  • 増やす期待(長期で成長を目指すか)

を考えながら、預貯金・保険・投資などを組み合わせていきます。

※具体的な商品や利率は、金融機関の説明資料や金融庁などの公的情報を必ず確認し、

自分のリスク許容度に合う範囲で検討してください。

3. 退職後の働き方・暮らし方をイメージしておく

「何歳まで・どのくらい働くか」によって、老後の家計は大きく変わります。

  • 正社員を続けるのか、定年後に再雇用を希望するのか
  • パート・アルバイトや短時間勤務で働きたいのか
  • 地方への移住や、実家へのUターンなど住まいを変える可能性があるか

これらをざっくり考え、家族と共有しておくだけでも、

今の貯蓄ペースや、持ち家・賃貸の方針などが決めやすくなります。


この1週間でできる「老後の家計チェックリスト」

大きな計画をいきなり立てようとすると、

面倒に感じて手が止まってしまうことがあります。

そこで、まずはこの1週間でできる小さなステップにしぼってみましょう。

チェックリスト(印刷・メモして使える形)

ねんきん定期便を探して、ざっくり見込額を確認する

家族構成・住宅の状況(持ち家/賃貸、ローン残高)を書き出す

今の1か月の支出内訳を、ざっくり8〜10項目に分けてメモする

「老後バージョンの支出」を、今の支出から+/−をつけて書いてみる

- 通勤費や子どもの教育費は減りそう - 医療費・趣味・旅行費は増えそう など

「老後の支出合計 − 年金見込み額(ねんきん定期便の数字)」を計算してみる(とりあえず月ベースでOK)

計算結果を見て感じたことを一言メモする

- 「意外と足りていそう」「ちょっと不安」「もっと具体的に知りたい」など

パートナーがいれば、週末に10分だけこのメモを共有する時間をつくる

完璧な数字にこだわる必要はありません。

「なんとなく」だった老後のイメージが、少しでも数字を伴ったものになることが大切です。


気をつけたいポイント(よくあるつまずき)

老後のお金を考えるときに、意外と見落としがちなポイントを整理します。

1. 「平均値」だけをあてにしすぎない

雑誌やニュースで紹介される「平均的な年金額」「平均的な老後支出」は、

参考にはなりますが、自分のケースとは違って当然です。

  • 共働きか片働きか
  • 住宅ローンの有無
  • 持病の有無や、介護リスクの感じ方
  • 親世代への仕送りや相続の状況

によって必要額は大きく変わります。

平均値はあくまで「物差しのひとつ」として眺める程度にして、

自分の家計表づくりを優先しましょう。

2. 「老後だから投資で取り返す」は危険

老後資金の不足を感じたとき、

「投資で一発逆転しよう」と考えるのはリスクが高いです。

  • 投資には元本割れのリスクがあること
  • 短期間で大きなリターンを狙うほど、損失が出たときのダメージも大きいこと
  • 高齢になるほど、収入で穴埋めすることが難しくなること

などを考えると、

無理のない範囲で、時間を味方につけることが重要です。

すでに投資をしている方も、

60歳以降の資産配分をどうしていくか、

リスクを下げるタイミングをどこに置くかを、少しずつ検討していきましょう。

3. 制度や税金は「変わる前提」で考える

公的年金、税金、社会保険のルールは、

日本の少子高齢化や財政の状況に応じて見直されていきます。

  • 現在の制度を前提に数字を考えることは必要
  • ただし、20年・30年先には内容が変わっている可能性がある

ことを頭の片隅に置いておくと、

「この数字通りにならなかったらどうしよう」という不安が少し和らぎます。

定期的に、

  • 日本年金機構や厚生労働省の情報
  • 金融庁、国税庁などの制度解説

に目を通し、「最近どんな議論があるのか」を知っておくと安心です。


まとめ:老後の家計は「一気に完成させなくていい」

老後のお金の話は、

どうしても大きな金額や専門用語が先に目について、

「自分には難しい」「あとで考えよう」となりがちです。

けれども実際は、

公的年金の見込み額を知る

老後の支出イメージをつくる

ギャップをざっくり計算してみる

家族と共有し、少しずつ調整していく

という、小さなステップの積み重ねです。

この記事で紹介したチェックリストをきっかけに、

今週はまず「ねんきん定期便を見てみる」「老後の支出をざっくり書いてみる」といった、

小さな一歩から始めてみてください。

お金日和では、これからも年金や老後のお金について、

くらし目線で役立つ情報をお届けしていきます。

わからないところはあいまいなままにせず、少しずつ一緒に整えていきましょう。


参考資料

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