老後の生活の柱となる公的年金。現役のうちは「まだ先の話」と感じるかもしれませんが、
- 退職した年の年末調整
- 年金を受け取りはじめた後の税金
- 働きながら年金をもらうときの注意点
といったポイントは、早めにしくみを知っておくと安心です。
この記事では、日本の公的年金と税金(年末調整・確定申告)の関係を、現役世代と退職後に分けて整理していきます。
現役世代:給与から天引きされる「社会保険料」と税金
会社員として働いている間は、毎月の給与から次のようなお金が差し引かれています。
- 厚生年金保険料
- 健康保険料
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税
このうち、厚生年金保険料や健康保険料などは、年末調整の際に「社会保険料控除」として所得から差し引かれます。
国民年金保険料を自分で払っている人は?
- 自営業の方や、一定の条件を満たさないパート・アルバイトの方などは、国民年金保険料を自分で納めているケースもあります。
- これらの保険料も、社会保険料控除の対象となります。
- 学生時代の国民年金の後納・追納をしている
- 第1号被保険者の配偶者の保険料を負担している
会社員でも、
といったケースでは、年末調整や確定申告で忘れずに申告することが大切です。
退職する年の年末調整:注意したいポイント
会社を退職する年は、
- 年の途中退職かどうか
- 再就職するかどうか
- 退職金を受け取るかどうか
によって、年末調整や確定申告の必要性が変わってきます。
年の途中で退職し、その後就職しない場合
- 年末調整が行われないまま退職するケースが多いです。
- その年の所得税については、自分で確定申告をすることで、源泉徴収された税金の一部が戻ってくる可能性があります。
転職した場合
- 転職先の会社に前職の「源泉徴収票」を提出し、転職先で年末調整をしてもらうのが基本です。
- 前職分を含めて年末調整が行われなかった場合は、自分で確定申告をして精算することになります。
退職金については、通常「退職所得」として扱われ、会社が「退職所得の源泉徴収票」を発行します。退職所得には「退職所得控除」という大きな控除があり、多くの場合は源泉徴収で精算が完了するため、確定申告が不要なケースもありますが、金額や条件によっては申告が必要となることもあります。
年金を受け取りはじめたら:年末調整ではなく「源泉徴収+確定申告」が基本
一定の年齢になると、公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金など)の受給が始まります。
公的年金にも所得税がかかる
- 公的年金は「雑所得」として扱われます。
- ただし、「公的年金等控除」という所得控除があり、一定額までは非課税、または税負担が軽くなる仕組みがあります。
年金に対する源泉徴収
- 日本年金機構などから支払われる公的年金についても、あらかじめ所得税が源泉徴収されています。
- 年1回、「公的年金等の源泉徴収票」が送られてきます。
年金生活者の確定申告
次のような場合は、年金収入のみであっても確定申告が必要、またはした方が有利になることがあります。
- 公的年金等の収入額が一定額を超える
- 年金以外に給与収入や不動産収入、株式の譲渡益などがある
- 医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)を受けたい
一方、公的年金だけで、収入が一定額以下の場合などは、確定申告が不要となるケースもあります。詳細な基準は国税庁の最新情報で確認してください。
働きながら年金を受け取るときのポイント
近年は、
- 定年後も再雇用で働き続ける
- パートやアルバイトで収入を得る
といった「働きながら年金をもらう」方も増えています。
税金面での注意点
- 年金収入+給与収入の合計に対して、所得税・住民税が計算されます。
- 給与については勤務先で年末調整が行われることが多いですが、
- 年金部分の源泉徴収
- その他の所得
などを合算すると、確定申告が必要になる場合があります。
社会保険面での注意点
- 一定以上の収入や労働時間があると、再雇用先の健康保険・厚生年金に加入することもあります。
- その場合、現役並みの保険料負担になることもあるため、手取り額を事前にシミュレーションしておくと安心です。
税金・社会保険ともに、制度や基準額は変更されることがありますので、最新の情報は必ず日本年金機構や厚生労働省、国税庁の公式サイトで確認してください。
今週できる「年金と税金」チェックリスト
現役世代の方も、退職が近い方も、次の項目を確認してみてください。
- [ ] 給与明細で「厚生年金保険料」「健康保険料」の金額を確認した
- [ ] 国民年金保険料を自分で払っている場合、控除証明書の保管場所を確認した
- [ ] 退職・転職の予定がある場合、退職する年の年末調整や確定申告について会社に確認した
- [ ] 親世代が年金受給中の場合、「公的年金等の源泉徴収票」をどこに保管しているか聞いてみた
- [ ] 将来の年金見込み額を、日本年金機構の「ねんきんネット」などで一度チェックしてみる予定を立てた
気をつけたいポイント(年金まわりの勘違い)
「年金は税金がかからない」は誤解
公的年金にも所得税・住民税がかかる場合があります。ただし、公的年金等控除などの仕組みにより、全額に課税されるわけではありません。
退職した年の税金をそのままにしてしまう
途中退職で年末調整がされていない場合、その年の所得税を精算しないままになることがあります。確定申告をすることで、払いすぎた税金が戻る場合もあります。
親の年金と税金をまったく把握していない
介護や相続の場面で、親の収入や税金の状況を知らないと困ることがあります。元気なうちに、ざっくりでも情報共有しておくと安心です。
ルールや基準額は変化する
年金制度や税制は、将来に向けて見直しが行われることが多い分野です。過去の情報や一度聞いた話をそのまま鵜呑みにせず、最新情報を定期的にチェックする習慣をつけたいですね。
まとめ:年金と税金は「今」と「将来」をつなぐテーマ
公的年金と税金の関係は、一見むずかしく感じますが、
- 現役時代の社会保険料控除
- 退職する年の年末調整・確定申告
- 年金受給後の源泉徴収と確定申告
という時間軸で整理すると、少しイメージしやすくなります。
「自分にはまだ先の話」と感じる方も、毎月の給与明細やねんきん定期便に目を通すところから、少しずつ意識してみてください。将来の安心につながる一歩になります。
参考資料
- 日本年金機構
- 日本年金機構「ねんきんネット」
- 国税庁「公的年金等に係る雑所得」
- 国税庁「退職したとき」
- 金融広報中央委員会 知るぽると「年金と税金」
https://www.nenkin.go.jp/
https://www.nenkin.go.jp/n_net/
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2500.htm
https://www.shiruporuto.jp/public/data/chapter05.html


