住宅ローンを検討するとき、多くの方がいちばん迷うのが「固定金利」と「変動金利」のどちらにするかという点です。日本では長期にわたって低金利が続いていますが、将来の金利がどうなるかを正確に予測することは誰にもできません。
固定金利と変動金利、どちらを選べばいい?
この記事では、固定金利・変動金利それぞれの特徴と、家計や価値観に応じた選び方の考え方を整理していきます。
住宅ローンの主な金利タイプ
① 全期間固定金利型
借入から完済まで、金利がずっと変わらないタイプです。
メリット
- 返済額が最後まで一定で、家計の見通しが立てやすい
- 将来金利が上がっても返済額が変わらない
- 一般的に、借入時点の金利水準は変動金利より高めになることが多い
- 借入直後の返済額が大きく感じられるケースもある
デメリット
長期で安定した返済を重視したい方や、教育費や老後資金との両立を考え「返済額をブレさせたくない」という方に選ばれやすいタイプです。
② 変動金利型
一定のルールに基づいて、定期的に金利が見直されるタイプです。多くの場合、半年ごとに金利が更新され、返済額の見直しは5年ごとなど、商品によってルールがあります。
メリット
- 借入時点では、固定金利より低い金利が適用されることが多い
- 金利が低い状態が続けば、利息負担を抑えられる可能性がある
- 将来金利が上昇すると、返済額や総返済額が増えるリスクがある
- 長期的な返済額の見通しが立てにくい
デメリット
目先の返済額を抑えたい方や、ある程度早めの完済(繰上返済など)を前提にしている方が検討することが多いタイプです。
③ 固定期間選択型
「当初10年固定」「当初5年固定」など、一定期間だけ金利を固定し、その後は再び金利タイプを選び直す、または変動金利に切り替わるタイプです。
メリット
- 当初数年間の返済額が読みやすい
- 全期間固定より金利を抑えられることもある
- 固定期間終了後の金利がどうなるかは不明
- 将来の金利上昇リスクは完全には避けられない
デメリット
「子どもが小さいうちの家計が不安定なので、当初10年は返済額をある程度予測できるようにしておきたい」といったニーズに合う場合があります。
※金利タイプや商品特性は金融機関により異なります。ここでの説明は一般的なイメージです。具体的な条件は、必ず各金融機関の最新情報をご確認ください。
数字でイメージする金利タイプの違い
ここでは、金利水準を仮のものとして、返済額の違いをざっくりイメージしてみます。
例:3,000万円を35年返済で借りるケース(あくまでイメージ)
※実際の金利・返済額とは異なります。あくまで「相対的な違い」をイメージするための架空の例です。
- 借入額:3,000万円
- 返済期間:35年
- Aさん:全期間固定金利型(固定)で借りた場合
- Bさん:変動金利型で借りた場合
【仮のシナリオ】
金利や返済額は実際のシミュレーションサイトで試してください。ここでのポイントは、
固定金利は、毎月の返済額が最初から最後まで基本的に変わらない
変動金利は、最初の返済額は少なくても、途中で金利上昇があると月々の返済額や総返済額が増えうる
という性質の違いです。
「長い目で見るとどちらが得か」は、将来の金利次第なので誰にも断言できません。大切なのは、自分の家計がどの程度の変動なら耐えられるかという視点です。
金利タイプ選びのチェックポイント
① 家計にどのくらいの“余白”があるか
- 貯蓄や投資に毎月いくら回せているか
- ボーナスが減ってもやりくりできるか
この「余白」が大きいご家庭は、ある程度の返済額の変動にも対応しやすくなります。
② 返済期間と完済したい年齢
- 何歳までにローンを完済しておきたいか
- 繰上返済をどの程度のペースで考えているか
定年(例:60〜65歳)までに完済する計画なら、
- 早期に繰上返済し、変動金利の低さを活かす
- 固定金利で「定年前に完済する毎月額」を確定させる
など、いくつかのプランを比較することが大切です。
③ 金利上昇に対する心の許容量
「金利が上がるかもしれない」と考えると不安で眠れなくなってしまう方は、多少返済額が高くなっても、全期間固定金利型の安心感が向いているかもしれません。
一方で、「万一返済額が増えたら、そのときは出費を見直したり、繰上返済を見直せばいい」と柔軟に考えられる方は、変動金利を検討しやすいかもしれません。
金利タイプを混ぜるという選択肢
共働きで世帯収入が2つあるご家庭では、
- 夫:固定金利
- 妻:変動金利
というように、あえて金利タイプを分散する方法を検討する方もいます。これにより、
- 一部は返済額を安定させつつ
- 一部は低金利のメリットを享受する
という「金利の分散」ができます。
ただし、
- ローン契約が2本になるため手続きが複雑になりやすい
- それぞれの名義と持分の調整、団体信用生命保険(団信)の扱いなど検討事項が増える
といった点もあるため、事前に金融機関や専門家に相談しながら検討するのがおすすめです。
今週できるチェックリスト
自分の“金利タイプの性格”を考えてみる
- 安定重視か、コスト重視か、紙に書き出してみましょう。
今の家計で毎月いくらなら「増えても耐えられる」のか試算する
- たとえば、返済額が2万円増えた場合を想定し、家計簿と照らし合わせてみます。
2〜3パターンのシミュレーションをしてみる
- 「全期間固定」「変動」「固定期間選択」をそれぞれ試算して、返済額と総返済額のイメージを持ちましょう。
繰上返済の計画をざっくり立ててみる
- 5年後、10年後にボーナスや貯蓄からどのくらい繰上返済に回せそうか考えてみます。
配偶者や家族と価値観を共有する
- 「多少返済額が増えてもいいから、総額を減らしたい」 - 「多少割高でも、安心して眠れるほうがいい」 など、お互いの考え方を話し合っておくことが大切です。
気をつけたいポイント
「みんな変動だから自分も変動」に流される
周囲の選択は、あくまでその人の家計や価値観に合った結果です。自分たちのライフプランに照らして判断しましょう。
当初の返済額だけで判断してしまう
目先の返済額が低い商品ほど魅力的に見えますが、総返済額や将来の金利上昇リスクもセットで考える必要があります。
固定期間終了後のことを考えていない
固定期間選択型を選ぶ場合、期間終了後に金利が見直される可能性があります。終了時期の家計状況(教育費のピークなど)も意識しておきましょう。
インフレ・デフレ環境の変化を軽視する
金利は、物価や経済状況、公的機関の金融政策など様々な要因で変化します。日本銀行など公的機関の情報にも、時々目を通しておくと良いでしょう。
まとめ
固定金利か変動金利かは、「どちらが得か」よりも「どちらなら安心して長く返済を続けられるか」という視点で考えるのがポイントです。
- 家計の余裕度
- 将来のライフイベント
- 金利変動への心理的な耐性
これらを総合的に踏まえ、シミュレーションや家族との対話を重ねながら、自分たちに合った金利タイプを選んでいきましょう。
参考資料
- 金融庁|金融・資本市場・決済システム
- 日本銀行|統計・資料
- 住宅金融支援機構|金利タイプと選び方の解説
- 金融広報中央委員会「知るぽると」|住宅ローンの基礎知識
https://www.fsa.go.jp/
https://www.boj.or.jp/
https://www.jhf.go.jp/
https://www.shiruporuto.jp/


